全ては、終わった。



勝利者は既にこの地より離れ、残るは一人の男のみ。



戦いは終わった。



勝利よりも、万能の釜よりも大切なものを彼等へ残して。



男には、何一つ残らない。



勝利も、栄誉も、彼には何一つ与えられなかった。



それでも、男は笑う。



喜びではなく、可笑しいわけでもない。



ただ、満足したと、迷い無く笑う。



彼には、もう何も無い。



それでも、



そう、それでも、この手にした 願い は、決して間違いではなかったと。




握り締め、笑う。



男は一人、崩れ落ちる洞穴の中に、消えた。









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