イリヤ | ……なんだか初めてさっぱりと終わった気がするわ。 |
桜 | やっぱりセイバーさんですからね。清涼感溢れる泉の水、というイメージぴったりでした。 |
イリヤ | 物足りない気もしちゃうけど……ま、いいか。 次いくわよ、次。 |
桜 |
はい、ではご招待いたします。
至高を極めた魔術師にして、その域は魔法使い! 放つ一撃は大地を抉り、空へ描く陣は芸術の一言! |
イリヤ |
商店街の悪魔の名は伊達じゃない! 私普通にお買い物してましてよ、ホホホ。といいつつ行列のおば様方を洗脳!
創り上げた料理は日に日にマスターを侵し、もはやキャベジンは日常必須品! 出番が少ないことなら1、2を誇るサーヴァント……葛木メディ子様、ごあんなーい! |
キャスター | 失礼するわ。というより大分失礼よ、貴方。メディ子はないんじゃないかしら。メディ子は。 |
イリヤ | あら、他は否定しないのかしら? |
キャスター | ………… |
桜 | イリヤさん! キャスターさんはそんな事しません! なんたって理想の奥様なんですから! |
キャスター | あら、ありがとう桜さん。やっぱり貴方は私の味方ね。 |
桜 | はい! 私はいつだってキャスターさんの応援団です! 将来の為、キャスターさんと葛木先生の未来の為――――……… |
キャスター | ……? 桜さんはどうかしたのかしら? まるで茹で上げた見たいな色よ? |
イリヤ | んふふ、実はね、少し前にクズキにもインタビューしたのよ。 サクラはそれを思い出しちゃったのねー。 |
キャスター | あら、宗一郎様に? それがどうして赤面に繋がるのかしら。 |
イリヤ |
まあその辺はキャスターに用意した質問と同じだから大丈夫よ。 ズバリ、最終話で貴方は何をしていたか………! |
キャスター | 最終話? 柳洞時にセイバー達が攻め入っていた頃よね。その時は――――――っ! |
イリヤ | あらー、どうしたのかしらキャスター? なんだか顔色がおかしくってよ? |
キャスター | えっと、その質問を……宗一郎様にも? |
イリヤ | ええ。後もうちょっとでR−18サイトになる所だったわ! Fateは元々18禁だけど。 |
キャスター | い、いやああああああああ!! |
イリヤ | あははー、駄目よキャスター? まだ始まってばっかりなんだから、逃げるのは心の底からボロボロになってからにしなさーい。 |
キャスター | ひ、ひい。もしかしてもしかして、その話を桜さんの前でも…… |
桜 | 大丈夫です、キャスターさん! その生き方についていきます! |
キャスター | ひああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁーーー! |
イリヤ | あ、逃げちゃった。 |
桜 | ああ、キャスターさーん! 今夜もがんばってくださいねー! |
イリヤ | しっかり止め刺してるわね、サクラ。っていうかさり気に終わらせちゃ駄目よ。 キャスターも出番殆どなかったけど、一応サーヴァントなんだから多少は目立たせないと。 |
桜 | あ、はい。じゃあ入り口を開いて、っと。 あれ、兄さん浮かんで……これは沈めて。じゃあお願いしますイリヤさん。 |
イリヤ | いくわよ。はい、どーこーでーもー○ーアー(ダミ声で) |
キャスター | (ズブリ)ぁぁぁぁぁああ! ってあ、あれ!? 私は一体何故ここに!? |
イリヤ | 逃げちゃ駄目って言ったじゃない、キャスター。 まあ今のわたし達から逃げられる訳ないけどね。 司会進行の為なら魔法レベルの出鱈目を発現できる権限があるんだから。 |
キャスター | くっ、なんというデタラメ……! ギャグ補正は防御力だけじゃないのね―――! |
桜 | キャスターさん、ギャグ補正じゃなくて司会権限です。まあ殆ど同じような扱いなんですけど。 |
イリヤ | そんな訳だから、逃げるのは諦めなさい。大丈夫よ、ちゃんと質問が終われば帰れるし、次のは普通のだから。 |
キャスター | ……判ったわ。桜さん、何かあったら助けてちょうだいね。 |
桜 | あはは、はい。たぶんどうにもできないと思いますけどがんばりますね。 |
イリヤ |
じゃあ最初の質問ね。
えー、10章の4「史上空前の戦い」でキャスターとジャグラーが戦ったわね。 お互いの事情から最後まで続けることはなかったけど、もし決着を望んだのならどうなったのか。 |
キャスター | …………随分と意地の悪い質問をするわね。 ここでも何度か言われたみたいだけど、その回を読めば判る内容ではなくて? |
桜 | すいません、どうも書いてる人はあのお話を気に入ってるみたいでして。 蒸し返したいというか、はっきりさせたいそうなんですよ。 |
イリヤ | 純粋な魔術戦! っていうのはアレくらいだからね。思い入れあるんでしょ。 |
キャスター |
まあ、そういう訳なら仕方ないわね。 まず前提として知っておかなければならないのは、私とジャグラーの魔力量の事ね。 |
イリヤ | キャスターは町から集めた小源、ジャグラーの場合は平行世界から持ってきた大源ね。 |
キャスター | そう。私の魔力貯蔵量を例えるなら、水を張ったプール。いくらバケツでそれを汲み取っても、尽きることのない無尽蔵。 対して、ジャグラーは正真正銘の無限。 平行世界とは言わば木の枝別れだから、葉の数だけ魔力を持ってこれるという訳ね。 |
桜 | ? なんだかキャスターさんの方が多そうな気がしますけど。 |
キャスター | それが一本の木ならね。 例えば、今私が右足から一歩前に進んだとするわ。その瞬間、未来に一本の木が生えて、無限に枝別れする。 でも平行世界には左足から進んだ私という未来も存在するから、そこからも一本の木が生えるのよ。 後ろに下がった私、横に移動した私、そもそも動かなかった私。 人間の挙動だけでも無数に未来が存在するのに、それが人間の数だけ存在するのよ? 確かこの国の人間で1億を超えるらしいわね。 そうなるともはや森、いえ、樹海と言ってもいいわね。 木の数ならまだしも、さすがにその葉となると数えようがないでしょう? |
イリヤ | 確かに、意識が遠くなりそうな話ね。 |
キャスター | それが万華鏡の名を冠する、あの剣と魔法の力よ。 まさに正真正銘のデタラメ。 正直、溜め込んでどうなるっていう話しじゃないという訳ね。 |
桜 | ジャグラーさん圧倒的ですね。 |
キャスター | ところが、当たり前だけど量が多ければ勝てるという訳ではないわ。 実際の所、あのまま同じ戦いを続けていれば私が勝利したでしょうし。 |
桜 | そうなんですか? 先程のお話を聞いてると、とても敵わないような気がしましたけど。 |
キャスター | 確かに魔力量に置いては勝負にさえならないわ。 だけど、私は魔術師戦において最も重要な部分で彼女に勝っている。 |
イリヤ | 成るほど、詠唱速度ね。 |
キャスター | そう。あの女の術式展開はそれなりのものだけど、あくまで現代魔術師レベル。 神が生きていた時代の私達に及ぶべくも無いわ。 ジャグラーはそれを補う為に、宝石を使用していたぐらいなのだから。 |
桜 | 宝石、ですか? いつも姉さんが使ってるやつでしょうか。 |
キャスター | アーチャーのマスターよね? 宝石には違いないけど、やっている事は逆よ。 あの娘は魔力そのものを宝石に溜め込んで、発動時に加工して解き放つ。 規模や対象は違うけど、方針的には私と同じね。いざという時の為の貯蔵を作るという意味で。 対して、ジャグラーは宝石に魔力ではなく、術そのものを宝石に仕込んだ。 |
イリヤ | ふーん、じゃあ魔術道具って事かしら。 |
キャスター | そのイメージが一番近いわね。 限定的な機能を持たせた、魔力を通せば誰にでも扱える道具。 まあ、あの女の宝石は本人にしか扱えないでしょうけど。 |
イリヤ | ちなみにそれは何で? |
キャスター | あの女の魔術はね、一見理路整然としているように見えて、中身の式はむちゃくちゃなのよ。 一つ一つの組み立て、編み上げは完璧と言ってもいいけど、その配置がもの凄くいい加減。 あれじゃあね、一度作り上げた物を修正するのに余計な労力がかかるわ。 |
桜 | あー、なんだか姉さんらしさを垣間見ました。やっぱり人間の本質って簡単に変わらないんですね。 |
キャスター | 作り上げたものの管理ができないだなんて、魔術師にあるまじき事だわ! そういう意味でもあの女には負けたくなかったんだけど――――話しが逸れたわね。 呪文の詠唱速度がどれだけ重要になるかは語るまでも無いわね。 さらに言うなら、いくらコストが低いとはいえ宝石は有限よ。 あの時にジャグラー自身が言っていたけど、あのまま続けていれば天秤は私に傾いたでしょうね。 もちろん、不完全が故の肉体の付加も含めてね。 |
イリヤ | ふーん、じゃあキャスターの勝ちって事ね。 |
キャスター | ……あくまでも“あのまま続けていれば”ね。 |
桜 | ? どういう事ですか? |
キャスター | 話し始めたならここまで説明しなきゃならないと思ったから、嫌だったのだけれど…………仕方ないわね。 確かにあのままの戦い方を続けていたのなら、私は勝利していたわ。 けれども、もしあの女が最初から私を“倒す”つもりでいたなら――――勝敗を一概には言えなくなるのよ。 |
イリヤ | あー、そういえばジャグラーは戦いにきたんじゃない、とか言ってたわね。 それをキャスターが早とちりして手を出したんだっけ。 |
キャスター | っ……! ま、まあ間違っている訳ではないけど……。 |
桜 | あ、あんまり気にしないようにしてくださいね。 |
キャスター | ……大丈夫よ、桜さん。もう終わった事ですし。 ともかく、あの女が私を倒すつもりだったならどうなのか、という話だけれど。 互いの一撃にどれほどの威力があるか、という点が問題になるわ。 |
イリヤ | 威力、ね。そういえば二人が連打してた魔術ってどれくらいの規模の威力を持ってるのよ? |
キャスター | 一つ一つを言うのなら、家を二〜三軒吹き飛ばす程度かしら。 アーチャーのマスターが使う宝石と大差はないわね。 対して私が持つ最大の魔術を行使すれば、百の軍勢を一度に塵にできるわ。 |
イリヤ | もう魔術っていうより宝具レベルね。 |
キャスター | 宝具はその概念や特殊性があるからこそ宝具足りえるけども、単純に威力という面なら間違いはないわね。 B、状況や時間によってはAランク並みの威力を構築することも可能よ。 流石にそうなると数秒、長くて十秒程度の詠唱が必要なんだけど………… |
桜 | もしかしてジャグラーさんはもっと短いんですか? |
キャスター | 短い、というより変わらないのよ。 ジャグラーにとって十の魔力を引き込むのも、千の魔力を引き込むのも同じ労力。 平行世界に穴を作って、ただそこにあるものを集める二作業で済むから、詠唱速度は変わらない。 しかも、威力だけで言うのならば私の魔術を上回るレベルで。 |
桜 | うわ、なんだか違う世界の私が受けたトラウマを思い出しそうです。 |
キャスター | さらに言うなら、それをいくらでも連打できるという事ね。 最高の魔術を、最短の速度で、しかも無制限に。 凶悪を通り越して本当の意味での反則。 まさに“月落とし”すら止めた次元違いの魔術礼装よ。 |
イリヤ | そこが“魔法使いレベルの魔術師”と“魔法を掠め取る奇術師”の違いって訳ね。 |
キャスター | とはいえ、魔法使いじゃない者が魔法を使用しているのだから、それなりの代償はある。 だから勝敗は判らない、という訳ね。 まあそれでも私の不利には違いないのだけど……。 |
イリヤ | 成るほど、よーく判ったわ。結局この世の中、キャスターは勝てないようになっている訳ね。 |
キャスター | …………っ! |
桜 | あ、あわわわ! イリヤさんっ、そうやって煽らないでください! キャスターさん、コメント読みましょう! コメント! |
キャスター | っ、そうね。こんな事でで取り乱しているようでは宗一郎様に顔向けできないものね。 |
桜 |
そうですっ! キャスターさんは理想の奥様なんですから、胸を張ってください! ではコメントですけど、
『正直、最高の見せ場がジャグラーの引き立て役になっていた気がします』 ……って、あ、あれ? |
キャスター | う、うぅ…………覚えていなさいよぉー! |
イリヤ | さらなる被害者ね。どうせクズキに無表情で慰めてもらえるんでしょうから同情も沸かないけど。 |
桜 | ごめんなさい、キャスターさん。私はいつでも応援してますから―――! |
イリヤ | はいはい。じゃあ次に行くわよ。 |