イリヤ | さて、庭の方に戻ってまいりました。 |
桜 | いよいよ終盤って感じですねー。 |
イリヤ | 本当に長かったわねー。 まさか一年掛かると思わなかったわ。 |
桜 | 一日何行、ってペースじゃしょうがないですよねえ。 諦めて別の作品を書くとか、切り替えればよかったと思うんですけど。 |
イリヤ | それも負けた気になるから! っていう典型的な“明日やる”人間の遠吠えだったんでしょ。 はい、愚痴っててもしょうがないし次にいきましょ。 |
桜 |
はい、ではご紹介いたします。
赤き英霊が語られる時、共に語られるは赤い外套の美女。 颯爽と絹の髪を流し、凛とした立つ姿は女神と見紛う華麗なる幻想! |
イリヤ | 相手公認のストーカー。 より完璧さを増した彼女は、より致命的なうっかりを生み出す! 具体的に言うと世界破滅級。 そう、あいつがいるとろくな事にならないと噂の彼女! |
ジャグラー | ジャグラーよ。 っていうか何よストーカーって。 それに世界破滅はやってないわよ、まだ。 |
桜 | まだ、って…… |
イリヤ | いずれやる気はあるのねー。 |
ジャグラー | で、何よ突然人を呼び出して。 せっかくのパーティーなんだから好きにさせなさいよ。 |
桜 | すみません…… 申し訳ありませんが、少しでいいですからお時間を割いていただけないでしょうか? |
ジャグラー | ……まあ、間桐さんがそう言うのなら少しぐらいは付き合ってあげてもいいけど。 |
イリヤ | おお、まさかこんなところでツンデレるとは思わなかったわ。 |
ジャグラー | む、何よツンデレって。わたしは間桐さん相手にツンなんてしないわよ。 |
イリヤ | えー、そうー? 『間桐さん』なんて言ってる限りはツンってると思うけどー? |
ジャグラー | ………… |
桜 | でもジャグラーさんは優しいですよ? |
イリヤ | ツンデレは正直になれないだけで別に優しくないわけじゃないわ。 っていうか優しくないツンデレはただのSよ。 |
ジャグラー | 別に桜相手にツンなんてしないわよ。 ただこう……正直になれない理由があるじゃない。 資格がないとか、正体を隠さないといけないとか、色々ある訳よ、こっちには。 |
イリヤ | 無駄な努力するわねー。すぐばれちゃうのに。 |
桜 | えへー、ギュっと抱きしめられたのは嬉しかったですねー。 |
ジャグラー | あ、ちょっ。何で覚えてるのよ! 記憶操作したのに! |
イリヤ | あー、ホシが罪を認めましたよ、部長。 |
桜 | うふふふ、じゃー抱きしめ返しの刑にしちゃいましょーか。 大人な姉さんっていうのもなんだかいいですねー。 |
ジャグラー | ちょ、桜! 何を……どこに顔うずめてるの! |
イリヤ | ジャグラーの身長は現代の凛より頭一つ分くらい大きくなってるー、 って書いてるヤツは勝手に想像してるからサクラが抱きつくと大体無い胸辺りよねー。 |
ジャグラー | な、無い胸って誰がよ! |
桜 | そんな事ないですよー、今の姉さんは大分ふっくらいいさわり心地ですよー。 |
イリヤ | あ……んっ! ちょ、サクラ……そこはダメッ……っ! |
ジャグラー | 人の声真似で何を言うかー! |
イリヤ | はい、大分大人ぶってた人格をほぐした所で質問に入りたいと思います。 |
桜 | わたしはこのまま顔を埋めたままお送りしたいと思います! |
ジャグラー | ……テンション高いわね。あんたら。 |
イリヤ | えー、では一発目。ジャグラーは何の目的で大暴れしたの? |
ジャグラー | 大暴れとは失礼ね、何のことを言っているのよ。 |
イリヤ | うわー、自覚もないのね。 |
桜 | 姉さんはわりと常識が一段階上にありますからね。 |
イリヤ | それは神か悪魔か……っ! |
ジャグラー | 誰が魔人皇帝よ。 大暴れが何の事を言っているか判らないけど、ここに来た目的なら言ったでしょ? |
イリヤ | ああ、そういえばアーチャーのストーカーだったわね。 |
ジャグラー | ストーカーじゃないっての! |
桜 | イリヤさんが言ってるのは、ランサーさんを苛めたりキャスターさんを苛めたりしてた事だと思いますよ。 |
ジャグラー | いじ……あれはね、決闘とか戦争とかっていうものであって、苛めとかとは別物なのよ? |
桜 | ランサーさんを二人がかりでボッコボコにしてもですか? |
ジャグラー | うっ…… |
イリヤ | キャスターを脅迫して散々言葉攻めしても? |
ジャグラー | ぐぬぬ……っ! |
桜 | 言葉攻め、って所にも否定しないんですね。 |
ジャグラー | いや、だからね? 別に苛めた訳じゃないのよ。 借りを返すためとかちょっとした復讐のために仕方なく…… |
桜 | 復讐ってちょっとでしたり、仕方ないで済むものなんですかね? |
イリヤ | やっぱり悪魔ねー。 |
ジャグラー | 貴方達ね……いい加減にしないと削り取るわよ。 |
イリヤ | 主に何を? |
ジャグラー | 人の尊厳とか。 |
イリヤ | きゃー、こわいわー。 サクラおねがーい。 |
桜 | はい! すりすりすりすりー。 |
ジャグラー | あ、ちょっちょっと……いい加減にしなさい、桜! |
イリヤ | ふふふ。 どっかのタイム・ドライバー的に含み笑いをした所で話を逸らし、かつジャグラーを堕としてやったわ。 |
桜 | 役得ですー。 |
ジャグラー | ああもう! なんだか色々吸い取られるわ…… |
イリヤ | んじゃー落ち着いたところで次の質問。 今もそうだけど、ジャグラーが妙にサクラに優しいっていうか、弱いのは何故? 好き勝手にしてた割にはサクラに対しては一歩引いてたじゃない。 |
ジャグラー | ………… |
桜 | アーチャーさんもそうでしたけど、なんだか私に対して遠慮がちでしたよね。 なんていうか……求められるまでは手を出せない、って自分で決めてるみたいでした。 |
ジャグラー | ほんと、痛いところを付くわね。ここ。 |
イリヤ | 笑顔でお客様の鳩尾を穿つ、それが当店のモットーですから。 |
桜 | 褒められない信条ですねー。 |
ジャグラー | はあ……いい感じに虚脱させてくれるわね。 黙っててもしょうがないから言うけど、アイツやわたしが桜に遠慮してたのは簡単なことよ。 引け目があるから。 |
桜 | 引け目、ですか? |
イリヤ | 士郎を連れてっちゃった事? |
ジャグラー | それに大して何も思うことがない、って程図太くはないけど、それを死んでも引きずるわたしじゃないわ。 ただ単純に、わたしが桜を殺した。それだけの話。 |
イリヤ | それって助けられたのを助けられなかったから責任感じてるってやつ? |
桜 | あ、成るほど。 |
ジャグラー | ――――今ここに桜がいなかったら本気で殺してるわよ、イリヤ。 |
イリヤ | いちいちシリアスにしようとする奴が悪いのよ。 こっちも軌道修正とか大変なんだから。 |
ジャグラー | あー、もう。 ギャグで最後まで通せるぐらいのネタが無いのならやらなきゃいいってのに! |
桜 | それをいっちゃあおしまいだよっ。 |
イリヤ | で、詳細のほうは? |
ジャグラー | ふん、そこまで言わないわよ。 この話はバカの脳内で一本できあがっちゃってるし…… 日の目を見ることがあれば物語になる筈だしね。 言えるのは、わたしの居た世界に桜は居なくて、それをわたし達が忘れられないって事だけ。 |
桜 | 姉さんの愛をギュンギュン感じますねー。 幸せが鼻から溢れそうです。 |
イリヤ | いい感じにキャラ崩壊中ね、サクラ。 ほら、はなつっぺしときなさい。 |
ジャグラー | ああ、救われるんだか追い詰められているんだかさっぱり判らないわ…… |
イリヤ | まー、書いてるやつも色々と限界だし。 予告編的なお茶濁しで話を進めるのが一番いい事なのよ。 ほら、続きをほのめかした方が見てる人もきっと幸せよ? |
ジャグラー | ジャ○プの打ち切り作品的なぶつ切り状態にならなきゃいいけど。 っていうか実際なってるんだからヘタに期待させ続けるより、ここで洗いざらい吐いちゃった方がいい気もするわ…… |
桜 | まあまあ、そこは気にしない方向でいきましょう! 希望という名の可能性を信じて! |
イリヤ | まあつまり保障がなかったり予定が未定だったりする事に絶望しましょうって事ね。 |
ジャグラー | 心底疲れてきた。 もういい? セイバーからかいに行ってきていい? |
イリヤ |
あー、最後に書いてるやつのコメント読むわ。
『当然のように居るべき人物であり、かつ一番オリジナルな設定である特別な人物、ジャグラー。 UBWの続きであるなら、いて当然、いなくてはならない。 そんな考えの下、全く悩む事なく、ジャグラーという存在は現れました。 その存在は、お客様にとって異質なキャラクターであったと思います。 ある人は彼女に目を惹かれ、ある人はその異質っぷりに席を立ったかもしれません。 聖杯戦争を壊すかの如き暴れっぷりを見せたり、かと思えばあっさり力を失う目まぐるしい立ち回り。 いい意味でも、悪い意味でも場を盛り上げたジャグラー。 彼女無くしては、このSSは形にならなかったかもしれません。 ありがとう。ありがとう、うっかり』 ですって。 |
ジャグラー | 最後の最後でなんか妙な台詞混じったわね。 |
桜 | でも本当の所、ジャグラーさんがいなければ全く別のお話になっていたと思います。 |
イリヤ | そーね。 原作の第一ルートか第二ルート。 そのどちらかに近い形で収束したでしょーね。 |
桜 | その二つだと私は殆ど関わりませんからね。 |
ジャグラー | ……ま、起こった事は完璧に予想外だったけど、結果だけ見れば悪くはないわね。 |
イリヤ | 若本らしく―――もとい若者らしく結果オーライ! とでも思っておきなさい。 ……あ、そういえばまだ聞きたいことがあったんだった。 |
ジャグラー | ん? 答えてあげてもいいけど、早く終わらせなさいよね。 |
イリヤ | じゃあ直球で聞くけど・・・・・・ジャグラーって何歳? |
ジャグラー | ―――――は? |
イリヤ | 生前は何歳まで生きてたのかなあ、って。 ほら、サーヴァントは全盛期の姿で現れるから判らないのよね。 |
え、いや。 | |
桜 | あ、それ私も気になりますっ。 |
イリヤ | 英雄っていうのは短命っていうのが定石だけど、ジャグラーはそういうの無縁そうよね。 周りがばったばった死んでも図太く生きてそう。 |
ジャグラー | あ、アンタねぇ…… |
イリヤ | で、どうなのよ。 少なくともシロウより長生きしてるんでしょ? |
ジャグラー | …………歳よ |
桜 | え? |
ジャグラー | うわーん! サーヴァントは永遠のじゅうはっさいなのよー! |
桜 | あ! あー…… ジャグラーさん行っちゃいました。 残念です、何歳か聞こえませんでした。 |
イリヤ | わたしは聞こえたわ。 流石にこれは可哀想だからサクラには教えないであげる。 まあヒントは天寿。 |
桜 | それって答えじゃないですか……? |