イリヤ | さて、じゃあある意味真打いきましょーか! |
桜 |
はい!
闇に翻る赤き外套! 彼の者が放つ矢は空を駆け、千里を貫く『魔剣の射手』! |
イリヤ | 職業は執事! 趣味は投影で作り出したバッタモンでフィッシング! 現代人の癖に私服が似合わない男ナンバァーワン! |
アーチャー | それはまだ生焼けだ、豚と鳥肉はしっかりと火を通さんといかんぞ。 逆に牛肉は表面に焼き目を付け、中がほんのりピンク色になった状態がベストだ。 ああ、野菜はできるだけ端に寄せておけ。直火にあててしまっては火が通るまでに焦げてしまう。 タン塩をひっくり返すな! 上のネギはそのままに片面だけ焼いて食べるのが正しい食べ方だ。 む、そろそろ受け皿の水が切れてきたな……ああ、すまない店員さん、水の補給を頼む。 |
イリヤ | ………… |
桜 | ………… |
イリヤ | ―――――焼肉奉行? |
桜 | 店員じゃないんですけど……どうぞお水です。 |
アーチャー |
すまないな。 ――――ん? なんだね君たちは。 |
桜 | えっとぅー、とりあえず店員じゃないんですけど。 |
イリヤ | インタビュアーよ、一応。 |
アーチャー | ああ、先程からなにやら騒いでいたのは君たちか。 宴会だからとハメを外すのは構わんがね、 君たちも淑女ならそれこそ淑やかさ持って客に対応するべきだと思うが。 |
桜 | う、いきなりお説教タイムですか。 |
アーチャー | 君達はタダでさえヒロインというより悪役としてのイメージが強いのだから、 イロモノ役ばかり請け負っていると本気で降格する事になるぞ、色々と。 例えばホロウの表紙だったりドラマCDだったり…… |
桜 | いやあああ! 表紙の事は言わないでくださいいいい!! |
イリヤ | ヒロイン大集合! っていう中に呼ばれないある意味最大の侮辱どころだったわね…… タイガが呼ばれないのは判るけどなんだって私が呼ばれないのよ! 大体面子が色々おかしいのよ! 主人公の士郎は出ないしメルブラ主人公だっていないじゃないっ? 月姫は人気に関わらずほぼフルメンバーだし…… というかなんでジョージだけ別枠作品として用意してあるのよ! あーもう何よりもライダーさえいなければ私の出番だったきがするのにー! あとさっちんを出せ! |
アーチャー | ククク、まあ君たちにはセイバーや凛の様な正統派ヒロインのイメージなど無理難題か。 欠点や多少の癖はともかく、本格的な黒さがあっては正直恐怖しか得られんからな。 |
イリヤ | ぐぬぬ……っ! で、でもこういうわたし達にもファンはいるわ! こー怖い所がカリスマ的で! |
桜 | そうです! 黒桜じゃないとダメだー、とか。黒桜のが好き! って人は人気投票にもいました! |
アーチャー | 確かにいるだろうな。まあ、極一部。 |
イリヤ | く、くはー! 性格ひん曲がりすぎよこいつー! |
桜 | ううう、元が先輩っていうのがとても信じられません…… |
アーチャー | ふん、私は衛宮士郎ではないからな。 あれと同じようなリアクションを求めているのならばお門違いというやつだ。 |
桜 | と、いうわけで黒アーチャー。もとい本編アーチャーさんです。 |
イリヤ | あっちと区別を付けるだめに以下から名前を『エミヤ』でお送りするわ。 |
エミヤ | 私の呼称は『アーチャー』でよいと思うが。むしろあちらだけ変えれば十分だろう。 |
イリヤ | まーね。でもやっぱり区別は必要でしょ。 全員がここまで付き合ってくれているとは限らないし、 もしかしたらここまですっ飛ばしてるかもしれないじゃない。 |
桜 | なぜ飛ばたしっ! |
エミヤ | 元ネタを知らんギャグは辞めたまえ。まあ、その意見には同意するがな。 このような茶番に付き合えるのは余程の暇人かお人よしだ。 |
イリヤ | ま、大半前者でしょうね。 |
桜 | もう、二人ともなんだってそう捻くれてるんですかっ。 ご安心ください、パソコンの前の皆さんは後者ですからねー。 |
エミヤ | お人よしを褒め言葉と受け取るかは本人しだいだが…… 成程、君は携帯ユーザは暇人だというのか。 |
桜 | あ、え。いえっ! 携帯で見てる人もお仕事の帰り道とかでしょうから、 むしろ忙しいのに見てくださるような心優しい方な筈です! |
エミヤ | ではS社やM社の様なゲーム機は前者かね? PDAは? |
桜 | うえ、え、えっとー…… |
イリヤ | ちょっとそこの未来英霊、流石にいじめすぎよ。毒が多すぎなんじゃない? |
エミヤ | そうかね? いや、そうであろうな。 何分生まれが黒聖杯な上、SS内では皮肉を言う機会が少なかったものでな。 |
桜 | う、生まれは関係ないんじゃないでしょうか…… |
イリヤ | 貴方だけ黒化してないしね。その性格の悪さは地でしょ。 まあ生前誰に性格黒化させられたかは大体想像付くけど。 |
エミヤ | 主に凛だな。あと青い悪魔だ。 |
イリヤ | 縦ロールね。 |
桜 | 伝授して頂いた姉さんもイチコロのバックドロップはバツグンでしたね! |
エミヤ | ほら見ろ。桜のような子までアレ等に影響を受けるとこれだ。 |
イリヤ | まあ確かに教育には悪そうだけどねえ、二人とも。 サクラの場合は地というか才能というか…… |
桜 | イリヤさん? |
イリヤ | ダメよアーチャー本当の事言っちゃ。 |
エミヤ | 突然オレに振るな! |
イリヤ | んじゃー質問方いきましょうか。 |
エミヤ | マイペースだな、君も…… |
桜 |
では質問その1です。 ズバリ、アーチャーさんはどこから来たのか。 |
エミヤ | ふむ、先程の黒セイバーにしていたものと同じものだな。 |
イリヤ | そ、同じ質問をするっていう事がどういう事は判るわね? |
エミヤ | 私が彼等とは別の世界から現れた、と理解しているという事だな。隠していた話題でもないがな。 |
桜 | アーチャーさんは原作第二ルート、つまり姉さんルートから来たんですね。 |
エミヤ | ああ、一つ言っておくが私はアレとは違うぞ。 あの三人も確かに凛ルートから来ているが、 私はあくまで聖杯戦争にサーヴァントとして参加したアーチャーだ。 |
イリヤ | まあ勘違いする人もいないと思うけど、一応確認ね。 |
桜 | でも他の黒軍団の方が第三ルートから現れているのに、アーチャーさんだけ第二ルートなんですね。 |
イリヤ |
そう、そこよ。 なんだって他のヤツラがそろって第三ルートから来ているのに、貴方だけ違うのか。 そもそもサーヴァントは『召喚される』ものだから、自らの意思は関係ない筈なのに。 |
エミヤ | ふむ、確かにそれは奇妙な事だな。 |
桜 | えっと、11章3話と4話の間のお話しって、アーチャーさんですよね? なんだかそれっぽい会話をされてましたけど。 |
イリヤ | 番外、『書庫』ね。なんだか胡散臭い爺さんと喋ってたみたいだけど、あれ誰? |
エミヤ | アレか……誰と言われても私にも心当たりがなくてね。そもそもあの場所での記憶はおぼろげなのだが。 |
イリヤ | オボロゲ? |
エミヤ | ああ、元々あの空間には時間や空間といった概念が曖昧でね。 私自身、あの記憶が本当に在った事なのかさえ定かではない。 |
桜 | じゃあその場にいたおじいさんについては? |
エミヤ | 正直な所申し訳ないが、不確かな記憶しか残っていない。 |
イリヤ | まー、あんな所にいるんだからそう候補者はいないでしょうね。宝石の翁とか。 |
エミヤ | それが候補者その一、だな。 |
桜 | 他にもいらっしゃるんですか? 候補者の方。 |
エミヤ | うむ……マーリンだ。 |
イリヤ | マーリン? マーリンてあのマーリン? |
桜 | 知っているのかキバ○シ! |
イリヤ | M○Rは秀ちゃん主演してたのしか見てないわ! |
エミヤ | マーリンとはセイバー、もといアーサー王の側近である魔術師の事だ。 予言者としても高名を持ち、アーサー王の伝説は彼と共に書かれる事が多い。 |
イリヤ | でもそいつって、最後は自分が教えた秘法で湖の妖精に封印されたんじゃないの? |
桜 | なんだってそんな大事な事を教えちゃったんです? |
イリヤ | たいそうな色ボケだったそうよ。 |
エミヤ | まあ、なんだな。その妖精も彼を独り占めしたいからと幽閉したらしいが。 セイバーにして愛の多い人、と言わしめた男だ。 手広くやっていたのだろう。 |
イリヤ | で、どうなのよ。幽閉されてるんじゃ出て来れないんじゃないの? 未だに現地ではマーリンの悲鳴が聞こえるとかいう話まであるし。 |
エミヤ | なに、大したことではない。 それほど優れた魔術師ならば、自らの魔術を解けぬ筈もなかろうという話だ。 |
桜 | でも、体中縛られたり氷付けされた、なんていったらどうしようもないと思うんですけど…… |
エミヤ | 確かに封印の方法や状態によってはそういう意見もあろうが…… 私自身、何故こう思うかは判らんのだがな。 マーリンは別の理由でそこを出られなくなったと思っている。 |
イリヤ | その理由とは? |
エミヤ | …………湖の妖精がいい女過ぎたのだろう。 |
イリヤ | ………… |
桜 | ………… |
エミヤ | あー、つまりはだな、私は彼だとしても可笑しくないという事を言いたい訳だ。 |
イリヤ | ふーん、まるで本人から話を聞いたみたいね。 |
エミヤ | ふむ、そうかね? ……そうかもしれんな。 |
桜 | なんだか意味深なお話しになってますけど、 実は書いている人も半分悪戯心で書いただけでしっかりと決まっている訳じゃないとか。 |
イリヤ | しっ! ダメよ桜、書いてるヤツが何にも考えてないのばれちゃうでしょう? |
桜 | あ、すいません。反省しますっ♪ |
エミヤ | いちいち君たちは棘付きのコメントばかりだな…… |
イリヤ | あら、棘のあるからこそ薔薇は美しいのよ? |
エミヤ | それはつまり自分が棘だらけだと理解しているという事かね? |
桜 | うー、アーチャーさんもコメントが棘だらけです。やっぱり何かあったんですか? |
エミヤ | ……いや、ここで言うような事は何もないが。 |
イリヤ | じゃあここじゃなきゃ言いたいことがあるのね。 いいから言っちゃいなさいよ、無礼講なんだし。 |
エミヤ | ――――――強いて言うなら、 |
イリヤ | なら? |
エミヤ | ドラマCDに出られなかったなあ、と。 |
イリヤ | ホロリ。 |
桜 | 全てはきのこ氏の筆一つですからね…… 出られても脇役と黒幕要員なのは幸せだったんでしょうか。 |
エミヤ | まあ、なんだ。ここはアンリミテッドコードに期待し、座して待とうではないか。 |
桜 | そっちでもラスボス要員じゃないですか! |
イリヤ | で、出番が、出番がああああ! 隠しキャラの希望すらDie!!(6月2日現在) |
エミヤ | それでどうするんだ、質問とやらは続けないのか? |
イリヤ | はっ! そうだったわ、愛しさと切なさと心強さで忘れかけていたわ。 |
桜 | 愛しさと心強さの成分はだいぶ無かった気がしますが…… |
イリヤ |
本来の仕事に戻りましょうか。次は…… 貴方が自分から聖杯戦争に参加した、その目的は。 |
エミヤ | 観光だ、といっても信じてもらえぬだろうな。 |
桜 | 流石にその嘘はないと思いますよ……? |
エミヤ | うむ、慣れぬ冗談など言うものではないな。 |
イリヤ | 皮肉は言えるのにニヒルな冗談は言えないなんて紳士としてどーかと思うけど。 |
エミヤ | まあなんだ、あながちただの冗談ではなくてな。 ようは見に来たのだ、アレを。 |
イリヤ | アレ? |
エミヤ | うむ、物見遊山と言っても差し支えない。 ただの悪趣味、野次馬と言ってもいい。 なにしろ結果が判っている事をただこの目で見たいだけだったからな。 |
桜 | うーん、なんだかいまいち話しが掴めないんですけど…… |
イリヤ | そうよ、そんな回りくどい言い方じゃなくてはっきりといいなさい。 |
エミヤ | ……いや、しかしそういうものだろう。 理想の自分を見たいだなんて、まるで夢見がちな子供だろう? |
イリヤ | ………… |
桜 | ………… |
エミヤ | 黙るな。これではタダの吊し上げではないか。 |
桜 | あ、えーと。すいません。 |
イリヤ | いやまあ、別に言ってる事は恥ずかしい事でもなんでもないと思うけど…… 照れてるアーチャーは萌えるはね。 |
桜 | こういう所はやっぱり先輩なんだなあ、ってなごみますね! |
エミヤ | ええい、萌えるななごむな! 帰るぞ、私は! |
イリヤ | あー駄目よ。まだもう一個質問あるから。 |
エミヤ | まだか……私も途中参加だ。対して出番もなかったのだから、これ以上質問もないだろうに。 |
桜 | いいえ、少なかったからこそ、です。 |
桜 |
最後の質問です。
ズバリ、今後の展望は? |
エミヤ | 展望……? と、言われてもな。聖杯戦争も終わった。 もはや私の出番も終わりだろうよ。 |
イリヤ | あら、死んだ、とは言わないのね? |
エミヤ | ……あの空洞崩壊に巻き込まれたのだから考えるまでもないだろう。 それにサーヴァントは英霊だ。『死んだ』という表現はどの道正しくはなかろう。 |
イリヤ | 神父も似たような事言ってたけどね。 ほら、ストレートに答えなさい。 今後出番あるの? ないの? |
桜 | 別に生き残っていなくてもまた何かの事件で召喚されるとか、回想で出てくる ―――なんていう可能性もありますしね。 |
エミヤ | ……まあ少なくとも回想まで否定はせんが。 というか私が召喚される事態、という事は世界崩壊一歩手前だという事を判っているのか? |
イリヤ | いいから、その辺はどーでも。有るか、無いか、二択よ。 |
エミヤ | …………有る、と言いたい所だが。 |
桜 | 所だが? |
エミヤ | 結局は書き手次第だろう。 |
イリヤ | あー、それをいっちゃあ御仕舞いよね…… |
エミヤ | 実際その通りなのだからしょうがあるまい。 書き手からすれば私というキャラを生かす事を十分考えているが、 それも続かなければただの妄想だ。 |
桜 | この一年間が物語ってますねぇー。 お話しのネタだけは考えてて動き出さない指が物悲しいです。 |
エミヤ | 単純に生きている、と言えば簡単だがそう答えるのも無粋かもしれんな。 先は誰にも判らず、だからこそ私達というキャラクターも設定通りには立ち回らない、と言っておこうか。 |
イリヤ | ただのものぐさをそこまで美化できれば完璧よね…… |
桜 | だ、ダメですよイリヤさん! せっかくアーチャーさんが綺麗にまとめてくださったんですからっ。 |
エミヤ | ここでヒーローショウなら皆の声援に答えて立ち上がるのだろうが…… 生憎書き手は英雄でもなければ怪人でもない |
イリヤ | 英雄ならいっぱいいる物語なのにねー。こればっかりは助けられないわ、つける薬もないし。 |
桜 | うわぁ……また書いてる人ハイパーいじめタイムですね。 |
イリヤ | む、いい加減このネタもマンネリね。自粛しましょ。 |
エミヤ | さて、これでやっと解放か。 |
桜 |
あ、最後にまだコメントがあります! えー、
『漢の背中、見せて―――いや、書かせて頂きました。 このSSがUBWのその後である限り、その存在なくして語ることはできません。 真なる赤き英霊、そしてその名を持つもう一人の自分。 その二人が相対する時、それがまさにこの物語の中心でした。 心から、感謝の言葉を伝えたいと思います。ありがとう』 |
イリヤ | 大分本気ね、コメントが。 |
エミヤ | オレを見送るにしてはいささか調子が違うな。 まあいい、せっかくの言葉だ。気持ちだけは受け取っておこう。 |
桜 | 以上、原作アーチャーさんでしたー。 |
エミヤ | また、いずれかの世界で。 ―――おい、それは生肉だぞ、セイバー。 |